強すぎれば悪臭となる

濃度の違いはニオイの違い

 悪臭を放つものを薄めると快い香りになったり、逆に快い香りが濃くなると悪臭に変化してしまうことは、よくあります。

 ニオイとなる成分は化学的にみると同じものを、濃度が違うと嗅覚が全く別の刺激としてキャッチしてしまうためです。

 ジャコウは、ジャコウジカから精嚢ごとと取り出します。このときは、ちょうど糞のような不快なニオイですが、薄めていくに従って、古来から人間に珍重されてきた芳香に変化します。

 動物性の香料として、有名な龍涎香(アンバー)はマッコウクジラ腸内にできる結石です。これも原料の段階では、強烈な段階では強烈な糞のニオイがします。

 さらに人間の糞そのものも、アルコールで1万倍に薄めると、ジャスミンやくちなしなどの花の香りがしますし、磯のりやつくだ煮のくせのあるニオイも10倍に薄めるとイチゴジャムやコンデンスミルクのニオイに変身してしまうことが判明しています。

 逆にオレンジの、香りの成分の濃度を100倍くらいにすると、油くさいキツイ悪臭になってしまいます。また、少量使えば料理の味をひきたてる香料も、分量を間違えて大量に入れてしまうと、ニオイが鼻について、食欲をそいでしまいます。

濃く、強いニオイほど不快

 かすかに漂ってくる分には、うっとりするような良い香りの香水も、大量につけてしまうと、頭痛がしてくるほどの悪臭に感じられるものです。

 どんな人にも当てはまるような良いニオイと悪いニオイを定めることは困難ではありますが、やはり一定の傾向があるようです。すなわち、ニオイの濃度が上がれば上がるほど、そして強くなればなるほど、そのニオイが不快に感じられるようです。