嗅覚の変化するにつれて

嗅覚の退化

 動物の性フェロモンのような、異性に直接的な行動をとらせる分泌物は、いまのところ、人間には発見されていません。

 共同で社会生活を営み、1年中発情、妊娠ができる状態になった人間には、特定の信号によって性行動を抑える必要がなくなったので、そういった機能が退化してしまったのだろうと考えられます。

 ですが太古の昔に、人間が類人猿に近かった頃、現在ワキガとして残っている分泌物が、その役目を果たしていたと考えられます。その当時は、発臭場所も、身体のあちこちからより強いニオイを放って、異性をひきつけていたのでしょう。

強い刺激=悪臭と伝達

 かつては性的興奮を引き起こす心地よいニオイだったワキガが、今では一般的に悪臭として忌避されているのはどうしてでしょうか。原因は様々ですが、最も大きな理由として人間の嗅覚が変化してしまったことが挙げられます。

 昔と比較すると、ニオイを嗅ぎ分ける能力自体が低くなっているため、人間の嗅覚にとってワキガのニオイは強い刺激となってしまうのです。

 そのため、嗅覚がその情報を性的信号として正しく受けとめて脳に伝えることができずに、強い刺激は悪臭であると伝達するようになったためと考えられています。

 ただ、普段は悪臭と受け取る人であっても、性的興奮が高まっているときはワキガが芳香に感じられるということもあるそうです。悪臭までとはいかない程度のワキガなら依然として快いニオイとして感じ取ることができる面があります。