食欲を刺激するニオイも

食欲とニオイの関係

 ニオイと本能との関わりで忘れるわけにはいかないのが、人間の一番根本的な欲求である食欲と性欲が嗅覚と密接に結びついていることです。

 食欲とニオイの関係は、言うまでも無く非常に密接なものです。耐え難い空腹時なでに、食欲をそそるようなおいしいニオイを嗅いだだけで、たちまちお腹が鳴ってしまうような経験は誰でも少なからずあるものです。

 ただ、飽食の時代で生活している私たちは、食物が食べられるか、腐敗しているかなどを嗅ぎわけるという嗅覚本来の役目を忘却して、その食べ物がおいしそうなのかどうか、といった質をはかるのに、もっぱら嗅覚を使用している傾向があるようです。

 また、後天的な学習のよって、発酵させたチーズや納豆、ぬかづけなどの腐敗臭が漂う食物のニオイに食欲を感じることもあるわけですから、いちがいに腐敗臭は不快なものだとは決めつけるわけにもいきません。人間の食欲と嗅覚の関わりは、動物よりも複雑なものだと言えるでしょう。

味覚と嗅覚の関係

 味覚と嗅覚の関係もなかなか面白いものがあります。食べ物がおいしいかまずいかは味覚で判断しているものですが、それは嗅覚も影響を及ぼしているのです。

 好みにあった香草や香料が料理にうまく使用されていると、たちのぼる香りで食欲を刺激されるのみならず、実際に食べてからも、料理の味に深みが増して、より一層おいしく感じられます。

 逆に、風邪などで鼻が詰まっている際には、食べ物の味が分からなくなることはよくあるものです

また、その食べ物のニオイに対する好みが不一致であることも多いものです。味はいいけれど、ニオイがよくないなどという場合がそれです。いずれにしろ、ニオイと食欲との関係は複雑なものなのでしょう。