ニオイを感じる仕組み

ニオイとは微小の物質

 人がニオイを感じる嗅覚のメカニズムとはどのようなものなのでしょうか。

 ニオイはある種の微小な物質で、空気中に漂っており、呼吸をするときに、人の鼻の穴に吸い込まれていきます。この物質をとらえるのが、鼻腔の最も奥のほうにある、嗅上皮(嗅粘膜)と呼ばれる器官です。

 それを広げてみると、人間で4~5c㎡になるこの器官には、約1億個の嗅細胞と呼ばれるものがあり、ニオイ物質を受け取ることで、これを電気信号に変換して、脳中枢のニオイを担当しているところに送ります。

 脳には過去の経験が記録されており、信号が到達すると、これは良いニオイ、これは悪臭などと識別して、良いニオイなら深く吸い込み、悪いものなら息を止めるといった、身体の反応を決めているのです。

本能的な反応

 人間は進化の途中で、自ら所有している感覚の中でも特に視覚を発達させて、感覚の主体をそちらに切り換えてきました。そのために、ニオイの情報をフル活用している動物と比較して、嗅覚は格段に衰えてはいるものの、本能的な行動はいまだにニオイに左右されているのです。

 誰でもニオイに対する好き嫌いの区別が決定的で、とくに嫌いなニオイに対してただちに拒否反応を起こしてしまうのも、このことから説明ができます。咄嗟の動作で、動物的本能とでもいうような感じで反応しているわけです。

 あと、ニオイによって過去の記憶が呼び起こされるのも、こういった判断を瞬間的に下しているために、ニオイと結びついた経験が、記憶として脳のこの部分に蓄えられているためと考えられます。